厚切りジェイソンと在日外国人を見て思うことなど

SLUSH ASIAの厚切りジェイソンのスピーチ「空気を読むな、自分で考えろ」
を受けて山本さんがBLOGOSに書いた記事を読んで思ったことと

日本文化×外国人のリアクションを見ていて自分が常々感じてたことなどを書く。

 

まず第一に、厚切りジェイソンは頭がいい。

彼の主張は一貫しているし、持ち出してくる例も極端ではあるがきっと本当に彼が体験した''Why Japanese people!!??''な事例だろうと思う

そして、アメリカで育ち日本で働く彼のコメディアンとしての立ち位置は、「外国人の目で見た変な・悪しき日本の習慣をコミカルにぶった切る」というスタンスでなければならないのも理解できる。

海外には、日本のTVで見ることができるお笑い芸人のバラエティーをはるかに超えた

政治をディスる/ネタにする、特定のセレブや有名人を公然とディスる/ネタにする、頭の回転が速く様々なジャンルに精通していていろんな時事ネタをポンポン投下してくるピッチの早いスタンドアップコメディアンが数多くいる

でもそのようなスタイルは日本のTV的には規格外なのだろう

私たちは日本のマスコミというフィルターを通した

安易でわかりやすい、自分の頭では何も考えずに見れるバカバカしいネタを入れ代わり立ち代わり見ているに過ぎない

幸いにもそういった若いお笑い芸人たちを「大量生産」してくれる興業がいくつかあるので、何年見ていてもネタやオチが違うだけの金太郎飴状態だ

わたしたちはTVという受け皿に運ばれてきたほんの一握りの彼らを見て、ひとしきり笑っているだけなのである。

 

話がわき道にそれてしまったが

厚切りジェイソンがしてくれた話は希望がある。そうか、自分にもなにかできることがあるのかも、と。

でも、日々の生活のなかで、自分は枠組みの中にがんじがらめにされていて、もがけばもがくほど体にまとわりついた鎖が余計に体を締め付けることを体感している類の人だって、もちろんいるわけで。

そういう人たちは日本の中でも極めて「日本的」な枠組みの企業に身を置く人たちで、居心地は悪いがもうすでに背負ってしまっている責任や、自分一人ではない、守るべき存在がもういて、その「敷かれたレールの上で働く」しか今は選択肢のない人たちかもしれない

そしてそういう企業戦士たちは、たいていが多忙だ。

彼らは働き盛りの年代で、会社に管理され、仕事は片づけても片づけても上から降ってくる。一人の人間がこなせる量以上に常に任されるから、休みを返上したり規定より取れないかもしれないけど、会社がうるさいから無駄な休みは申請しちゃいけない。

疲れた体と体をを無理やり動かして働き、うちに帰れば家族サービスが待っている。

いつもくたくただ。

これを搾取というのかどうかはまた別の話になるけれど

そういう人たちに、何ができるというのか?

私はこう思ってしまうのである。

休みの日は何もする気力がなくなるくらい、毎日毎日自分という資本は会社に吸い上げられ、残ったいくばくかの体力をわずかな時間で自分のプライベートや家庭に充てている人々が、いったいどの位いるだろうか。

そしてそういう一人一人が会社の人柱となり、ひいては日本に貢献しているのではないだろうか、と。

組織が悪い、社会が悪いとは言うけど

その矛先はあまりにも漠然としていて巨大なので、いったい何ができというのか、と私は思ってしまうのである。

 

私は山本さんの記事におおむね賛同していて

彼の語る日本人論を喜ぶ日本人がいるから、彼は語っているだけだ。それは芸人としては実に正しい。だから、本当の課題は、こういう話を喜ぶ一部の日本人にあるんじゃないか

と思うし、それ以上にこう思っている外国人はいっぱいいて、それをジェイソンが代弁することで賛同を得て、彼のマスコミでの需要もまた約束されるのだ。

 

もうひとつ、これに関係して思うことがある。

 

それにしても、したり顔で「日本人てこうだよね」って言われると、いち日本人としては時にイラッと来るわけである。

厚切りジェイソンやパックンみたいな、理路整然として筋が通った主張でも、思ってしまう。

あなたが見聞きしてきて今私にしゃべっているその「日本」は、一体どこから切り取ってきたものですか、と。

 

そういう外国人たちは、慣れない異文化の中で苦労しながら生活しているのだろう

たいていはそのトピックに紐づいて、幾多もの''Why Japanese people!?''があるんだろうし、積もり積もった幾層ものストレスのはけ口として今そのひとかけらが放たれたのだと思う。

それはもちろんわかる。異国での生活というだけで大変なのに、彼らはなぜよりによっていろいろメンドクサイこんな国を選んだのだろう?

同じアジアでも、タイならもっと楽なんじゃない?

そう思ってしまうが、彼らは好きでこの国に来たはずなのである。

だけどうまくいかないあれやこれやを抱えて、居酒屋であなたの隣でくだを巻いているのである。

魅惑的な国ジャパンに移り住んだはいいものの、理解できないことだらけでフラストレーションがたまっているのである。

だからできるだけのことはしてあげたい、自分にできることは…と思っている。

 

つづく